第19回

女子栄養大学
女子栄養大学短期大学部

学長
香川 芳子さん Kagawa Yoshiko

Profile
1931年生まれ。東京女子医科大学卒業。東京大学大学院(医学博士)・カリフォルニア大学大学院(家政学部M.S.)修了。’90年より女子栄養大学・女子栄養大学短期大学部学長、香川栄養専門学校校長。「食に関する指導の充実のための取組体制の整備に関する調査研究協力者会議」の座長として栄養教諭の設立に尽力。他に、食の教育推進協議会代表。著書に「四群点数法」「人生あせることはない」「食餌・栄養からみた子どもの世界」など。

 
生きるために欠かせない毎日の食事。
みんな、好きなものばかり食べたり、無理なダイエットをしていないかな?
「食」と「健康」にはどんな関係があり、どんな点に気をつければいいんだろう。
栄養学や医学のエキスパートである女子栄養大学の香川芳子学長に、
3人の高校生が話を聞いたよ。

“ばっかり食べ”のウラにあるもの

●しのさん
 最近、子どもの間で“ばっかり食べ”が流行しています。先生は食と子どもの問題をどうお考えですか?

●香川学長
 人間は、生きるために大昔から周囲の動植物を手に入れ、上手に栄養を摂って子孫を残してきました。だけど、食を選ぶ能力は、もともと人間に備わっているものじゃないんです。特に、現代は急激に食の環境が変わったのに、上手な食べかたを教えることをほとんどやってこなかったの。
だから若い人は手軽で好きなもの“ばっかり”食べる。偏った食事をすると体の調子が悪くなり、やる気がなくなって勉強にも集中できなくなるんです。本当は若いうちから食の選びかた、栄養の摂りかたをもっと知るべき。私はずっと、生きる基本として“食育”が大事だと言い続けてきたんです。

「四群点数法」って何だ??

●ちひろさん
 先生はかつて、「四群点数法」という食べかたを発案されたとお聞きしたのですが、それはどのような食べかたなのですか?

●香川学長
 これは、食品を4つの食品群に分けた、栄養バランスの良い食品の選びかたです。これだと、細かいカロリー計算をしなくても、1日に何を、どのくらい食べればいいかが分かるの。
 例えば女性なら、1点=80kcalとして計算し、1日の合計が20点(1600kcal)はまず食べるのが基本です。第1群から第3群までを優先的に各3点(計9点)、残りの必要量11点を第4群から摂ればいいの。スポーツやダイエットなどでカロリー量を調節したい時は、体重をみながら第4群を中心に点数を増減します。第1群から第3群までの点数を減らしてはいけません。
 この四群点数法を実践すると、食事の過ちで起こる病気は圧倒的に防げるわけ。健康的なダイエットをめざす人にもオススメですよ。


●ちかこさん
 流行のにがりを使ったダイエットを実践する子が私の友人にもいるのですが、これはやはり良くないのですか?

●香川学長
  そうね。栄養的にどうしても偏ってしまうからね。若い人は適応力があるけれど、体が耐えられなくなって体調を崩す人も多いの。よく、にがりはお通じを良くすると言われるけれど、それなら白米を胚芽米や玄米にするという方法だってあります。今はサプリメントなんかも流行していますね。でも、これも食べものをちゃんと摂っている人がさらに摂る必要はないの。足りない栄養素が補給できることは事実だけど、逆にたくさん摂ればいいというものでもないのです。やはり、栄養はできるだけ自然の食品から摂ることが1番ですよ。


チカラを最大限に発揮してほしいから。

●ちかこさん
 私は今、高校生なのですが、今のうちにやっておくべきことは何かありますか?

●香川学長
 朝ごはんを必ず食べる習慣をつけてください。人間の体は1日25時間周期。毎日1度、朝にリセットしないとどんどん朝寝坊になっていくの。必ず朝食を食べ、明るい光を浴びること。そうすれば、体はベストコンディションになります。私がこうした話をするのも、すべてはみなさんに将来、能力を最大限に発揮できる人になってほしいから。ぜひ、栄養学を学び、自分で実践して、食の喜びをまわりに広げられる人になってくださいね!


※ここで掲載している文章は実際の一部です。
 
女子栄養大学
女子栄養大学短期大学部
「食」と「健康」を実践的栄養学から見直し、追究する「栄養学部」を有する単科大学。1933年の「家庭食養研究会」の発足から日本の栄養学の発展に寄与。’65年、日本初の「栄養学部」を開設。その後大学院を設置。2003年より学科専攻を改組し、希望に適した栄養学を学べる6つのコース(栄養学部第二部・短期大学部を含む)を用意。管理栄養士や栄養士、臨床検査技師、家庭科教員、養護教諭などの資格に対応。実践的カリキュラムによる高い就職率を誇り、OGたちは多方面で活躍中。’04年、他に先駆け「栄養教諭」養成講座を開始。世界に類をみない「栄養学専門の大学」である。
 〜対談終了後、高校生のみなさんに感想を聞いてみました〜

●しのさん
  栄養を正しく摂ることがどれだけ大切なことなのか、初めて実感することができました。とても緊張しましたが、学長先生とお話しできて本当に良かったと思いました。印象に残ったのは、全体を通して学長先生が栄養学をたくさんの人に知ってもらって、実践して、健康に生きてほしいと心から思っていらっしゃるのが伝わってきたことです。栄養学に対してとても熱い思いを持っている方だと感じました。

●ちひろさん
   終わってみるとあっという間でした。緊張もありましたが、学長先生から自分の知らない話をいろいろお聞きすることができたので、貴重な体験になりました。学校の給食で牛乳が出されるようになってから、日本人の平均身長が20pも伸びたというお話にはとても驚きました。学長先生は優しそうな方だと思いましたが、一方で実際にお話ししてみると、ひとつの質問に対して栄養学からだけでなく医学の方面からも教えていただくなど、やっぱりスゴイなと思いました。

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