interview
YAMAMOTO OSAMU00
【巻頭インタビュー】山本 おさむさん/漫画家 2004.冬号より

障害児教育は「生徒を受容すること」がスタートライン。
一般の先生もその姿勢に学んで欲しいと感じます。



障害者問題に挑んだ
漫画家による「人間教育」論




「甲子園もの」の資料集めから障害者問題に興味。
文献や手記に触れ、描かずにはいられなくなった。




私は今から十数年前まで、障害者関係のことは全く知りませんでした。出版社から次の作品は「甲子園ものをお願いしたい」と言われ、その手の本を読み漁っていたのです。

その中に『遥かなる甲子園』という、漫画の原作となるノンフィクションがありまして、非常に興味を覚えたわけです。沖縄のろう学校が野球部をつくって甲子園を目指すわけですが、ろう学校は高校野球連盟に参加する資格がないと決められていた。その逆境から、いかに厚い壁を乗り越えて地区予選に出場するかという物語なのですが、この本に接して障害者問題の根の深さに驚きました。以来、住んでいる埼玉地域の手話サークルに入って自分も手話を習い、実態を見聞きしながらこの物語を漫画で描いていったのです。


『遥かなる―』は最初、出版社からは大反対されました。障害者問題を描くとなると差別表現がつきまといますし、あちこちから抗議が来る可能性がありますからね。出版社にとっては、はっきり言ってあまり触れて欲しくないテーマだったわけです。しかし、私は自分を賭けるべきテーマだと感じて、「もし失敗したら、漫画家を辞めよう」という覚悟でした。出版社に啖呵を切って「どうしても描かせて欲しい」といって、描き始めたのです。


「ゆとりの教育」といっても、社会の実態は「拝金主義」。
教育目標と社会の価値観のズレが教育力低下の要因だと思う。



社会全体の教育力が落ちているという感じがします。それは価値観が全体に歪んできているからではないでしょうか。本来教育が目的とすべきものと社会の価値観がズレていることに起因していると思いますね。親も教師も「教育ではこういうことを目指す」とタテマエではいいながら、本音では違う行動をとっている。いくら「ゆとりの教育」といっても、社会の実態は競争原理に基づく「拝金主義」が横行しているわけですからね。そういう矛盾した状況で育つ子どもが、拒絶反応を起こすのも当然の成り行きだと思います。

教育というのは結局「先生個々の人格の力」なんだと私は思います。私自身、学校の先生が勧めるような社会には適応できそうもない子どもで、自分が生きていけそうな道として漫画の世界に入ったのです。いわば変わり者、落ちこぼれでした(笑)。ですが、少数ではあったけれど、受容してくれる先生がおられた。そういう先生に出会えたことは、自分の大きな力になりましたね。

※インタビュー全文は、ドリコムアイ2004年・冬号に掲載しております。お申し込みはこちらから。